乗り物酔いやメニエール症候群などの治療に使用されるメイロンの効果や副作用について詳しく解説します!
また効果持続時間や服用をオススメできない人についても解説していきます。
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目次 必要な場所から読んでください
メイロンとは?
呼吸によって肺から取り入れられた二酸化炭素は炭酸水素イオンに変化して体液のアルカリ性と酸性のバランスを調整しています。
アルカリ性と酸性の度合いの指標であるpH(ペーハー)は中性がpH7.0でありpH7.0より大きな値になるとアルカリ性、pH7.0より小さな値は酸性であることを示しています。
血液中のpHは7.35~7.45の弱アルカリ性に保たれていますが、その範囲を越えると人体の代謝、腎臓の機能、内耳器官に大きな影響を与えて病気の症状が認められるようになるのです。
pHが7.35以下では血液が酸性に傾きアシドーシスと呼ばれる状態になり様々な障害が出てきます。
また内耳器官では炭酸水素イオンは弱アルカリ性に体液を保つのみではなく内耳における血管収縮の調節や水分の出入りに関係した圧力である浸透圧の変化を調節しています。
メイロンは生体内のpH調整に重要な働きを担っている炭酸水素イオンを体に供給するために炭酸水素ナトリウムそのものを輸液製剤とした薬です。
メイロンには炭酸水素ナトリウムの濃度が7%と8.4%の製剤があり、それぞれについて20mLと250mLの容量で供給されています。
メイロンはこんな時に使用します
アシドーシス、尿中pHの上昇により尿中排泄が促進される薬物の中毒症状、急性じん麻疹の治療や、動揺病(乗り物酔い)・メニエール症候群・その他の内耳障害による悪心・嘔吐・めまいの治療に使用します。
メイロンの種類・形状・サイズについて
メイロンの種類毎の形状、サイズを以下の表にまとめています。
メイロン静注7% | メイロン静注8.4% | |||
形状・剤形 | 無色透明の液体 | |||
サイズ | 20mLプラスチックアンプル | 250mLソフトバッグ | 20mLプラスチックアンプル | 250mLソフトバッグ |
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メイロンの効果・効能
メイロンは生体内のpH調整や内耳器官の機能調節に働いている炭酸水素イオンを供給する炭酸水素ナトリウム製剤です。
薬物中毒の際の排泄促進への効果
サリチル酸塩、フェノバルビタール、メチルアルコールなどの過剰摂取による中毒症状の治療に使用します。
これらの薬物はメイロンによって尿中pHが高くなると尿細管からの再吸収が抑えられて血液に戻らずに尿中へと薬が排泄されて中毒症状を改善します。
アシドーシスへの効果
pH7.35~pH7.45の範囲で保たれている血液がpH7.35以下の酸性に傾いた状態をアルカリ性にすることでpHを正常範囲に保ちアシドーシスによる危険な状態を改善します。
糖尿病や手術などで生じたアシドーシスを改善する効果が報告されています。
めまいへの効果
乗り物酔いやメニエール症候群のめまいは内耳障害から生じると考えられています。
耳は音を聞く他にも内耳と呼ばれる部分で体のバランスを保つ働きをしています。
内耳内部で体の平衡感覚維持に関わっている耳石が動くことや内耳を満たしている液が増えすぎてむくむことでめまいが生じます。
メイロンは耳石に直接作用して乗り物に乗った際に感じる加速度の感受性を鈍らせることと内耳血管を拡張して内耳内の液量を調節することでめまいを改善します。
血流を改善する効果
炭酸水素イオンの血管を拡張する作用によって血流を改善します。
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急性じん麻疹への効果
急性じん麻疹の原因の一つに血液の酸性化であるアシドーシスが考えられています。
メイロンは血液をアルカリ性に戻す事で急性じん麻疹の症状に効果を示します。
内耳障害への効果
耳の機能の一つである体の平衡感覚制御は内耳と呼ばれる耳の奥にある器官で担われています。
内耳の中にある乗り物の加速の度合いを感知する耳石や内耳を満たす液体が過度に増えてむくみを持つことで、悪心・嘔吐・めまいなど乗り物酔いやメニエール症候群の症状が出てきます。
メイロンは耳石に作用して乗り物酔いの症状を改善します。
また内耳血管を拡張して血流を良くすることで内耳のむくみを改善しメニエール症候群の内耳障害症状も改善します。
メニエール症候群への効果
メニエール症候群はめまいが主な症状で他に難聴、耳鳴り、悪心・嘔吐などの症状も出てくる病気です。
病気の命名に関わるメニエール医師の解剖所見では内耳の障害が認められていました。
他にも自律神経障害や水分代謝異常などの関与が言われていますが十分には原因は解明されていません。
内耳の水分貯留によるむくみ、内耳血管拡張による血流改善、自律神経への作用を介して症状を改善します。
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メイロンの副作用
重大な副作用の報告はありませんが、その他の副作用が認められた場合には一旦、使用は中止するなどの処置が必要になります。
メイロンの副作用一覧
副作用を下の表にまとめています。
それぞれ発現頻度は不明です。
その他の副作用症状 | ||
過剰投与 | 電解質 | アルカローシス、高ナトリウム血症、低カリウム血症 |
血液 | 血液凝固時間延長 | |
骨格筋 | テタニー | |
神経系 | 口唇しびれ感、知覚異常 | |
投与部位 | 血管痛 | |
その他 | 発熱、全身冷感、不快感、貧血、悪心、徐脈等 |
アルカロ―シスの症状とその対処法
血液が正常pH範囲を越えてpH7.45以上になるとアルカリ性に傾き過ぎたアルカローシスの症状(筋力低下、嘔吐、昏睡など)を呈します。
血液をアルカリ性にするメイロンを過剰に投与するとアルカローシスを起こしてしまいます。
アルカローシスが認められた場合はすぐに静脈内投与されているメイロンを減量あるいは中止します。
重篤な症状には塩化アンモニウム(腎不全と肝不全の患者には危険ですので使用は避けます)など血液を酸性化する薬やカルシウム塩を静脈内投与する処置をします。
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高ナトリウム血症の症状とその対処法
炭酸水素ナトリウムであるメイロンを過剰に投与すると口渇や粘膜の乾燥などを症状とする高ナトリウム血症を起こします。
高ナトリウム血症が生じた場合はメイロンを減量あるいは中止します。
低カリウム血症の症状とその対処法
メイロンの過剰投与で生じるアルカローシス(筋力低下、悪心、嘔吐、意識障害など)に伴って低カリウム血症が認められます。
その場合は減量あるいは投与を中止します。
重篤な症状でない限りは経口的にカリウムを補給することが望ましい対処法です。
重篤な場合は静脈からカリウムを投与しますが血中カリウム濃度と心電図をモニターして慎重に処置する必要があります。
血液凝固時間延長症状とその対処法
基礎研究や臨床現場において炭酸水素ナトリウムが血液凝固時間を延長することが報告されています。
血液凝固時間延長によって出血が止まり難い場合などは投与を減量あるいは中止して、さらに止血などの必要な処置を施します。
口唇しびれ感の症状とその対処法
様態を十分に観察して口唇のしびれた感じがする場合は減量あるいは投与を中止してください。
知覚異常の症状とその対処法
十分に注意しながら観察して四肢末端の知覚異常が出た場合は減量あるいは投与の中止などの処置を受けてください。
血管痛の症状とその対処法
メイロンは血液と濃度が異なるため血液中に注射すると均一な溶液にしようと物理的圧力(浸透圧)が生じ血管に痛みを感じる場合があります。
投与の注射場所を変えることや場合によっては投与の中止などの処置を受けてください。
貧血の症状とその対処法
酸素を全身に運ぶ血液中の赤血球が減少し脳などが酸素不足になる症状が貧血です。
減量あるいは投与を中止します。
徐脈の症状とその対処法
通常より脈拍数が減り1分間に60回以下となることを徐脈と呼びます。
脳に血液が送られ難くなりますので減量あるいは投与を中止します。
テタニーの症状とその対処法
手足の筋肉が痙攣して腕や足の関節が曲がったままの状態をテタニーと呼びます。
カルシウム製剤を補給することで対処します。
メイロンとカルシウム製剤を混ぜると沈殿が生じるので配合しての輸液投与は避けなければなりません。
薬剤師からのワンポイントアドバイス
メイロンを静脈血管内に注射する場合に血管から漏れ出すと組織の炎症、壊死などを引き起こします。血管外にメイロンが漏れ出た場合は速やかに投与を中止し投与部位を最初は温湿布してから冷湿布します。その後は壊死を防ぐための薬を投与した場所に注射する処置を受けてください。

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メイロンが効くまでの時間
メイロンは静脈から血液に直接投与される薬ですので薬は投与直後に生体内に入りますが、投与は血液中のpHの変化を持続的に確認しながら過剰投与に注意して徐々に行われます。
血液組成の変化に効果が認められる時間は投与速度によります。
投与速度は症状の重篤度、年齢、注意を要する合併症などによって異なります。
メイロンの効果持続時間や使用間隔
メイロンは血液内のpHや症状を観察しながら過剰投与に注意して静脈注射で継続的に投与されます。
メイロンの炭酸水素ナトリウムは動物では投与後に4時間程度まで組織から検出されている報告はありますが効果の持続については病気の症状や原因によって異なります。
人においては1回の静脈内投与でどのていど効果が持続しているかの研究はされていません。
メイロンが効かない!そんな時の対処法
メイロンの効果が無い場合はメイロンの組成が変化している可能性があります。
メイロンはpHをアルカリ性に調整する炭酸水素ナトリウムですが分解によって二酸化炭素と水に変化することや空気中への二酸化炭素の出入りで組成が変わることもあります。
組成が変わると効果が無くなります。
メイロンを使用するときには開封前に容器のインジケーターが黄色であることを確認してください。
紫色の場合は組成が変化しているので使用しないでください。
また使用直前に開封して使用してください。
開封した状態で放置後に使用することと残った液の再使用は厳禁です。
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メイロンの使用がおすすめできない人
メイロンは血液のpHに変化を与えるため全身に多大な影響を与える輸液製剤です。
患者の状態によって多くの使用上の注意を要します。
また緊急時に使用されることもあるので危険性を注意深く観察しながらの投与が必要となります。
メイロンの妊娠中・授乳中の服用
妊娠中や授乳中の女性で妊娠中毒症による高血圧や浮腫(水分が組織内に溜まった「むくみ」)の症状が出ている場合は水分やナトリウムの過剰投与の危険性があるため血液の組成をモニターしながら注意して投与します。
メイロンの胃腸、血液、肝臓・腎臓、心臓の病気がある人の服用
投与されたメイロン(炭酸水素)は分解され炭酸ガスとなって肺から排気されますが、心停止し心肺蘇生時に使用する場合は患者自身では炭酸ガスの排出に対応する反応ができない場合があるので呼吸管理による換気が必要になります。
うっ血性心不全や重症高血圧の患者に投与する場合は血液中にメイロン液を追加することで心臓の負担が増して水分やナトリウムが過剰に蓄積した浮腫にいたることがありますので血液組成をモニターしながら慎重に投与することになります。
腎障害のある患者は腎臓での再吸収が十分ではなく投与したメイロンで水分やナトリウムが過剰に蓄積する危険性があります。
血液組成に十分に注意して投与してください。
低カルシウム血症や低カリウム血症の患者では液pHが上昇することで血液中のカルシウムやカリウムが減少し症状を悪化させることがあります。
血液中の組成をモニターしながらの慎重投与になります。
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メイロンとラクテック、エルネオパ、ラシックスを比較
輸液療法の目的は水分、電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウムなど)、pH、浸透圧などの体液バランスの補正・維持と栄養の補給にあります。
体液バランスの維持をもっぱらの目的とする電解質輸液製剤としてメイロンとラクテックがあります。
エルネオパは電解質の他にビタミンやアミノ酸を含んだ栄養輸液製剤となります。
ラシックスは排尿を促すことで体液バランスの補正をする利尿剤です。
メイロンとラクテックの違い
電解質輸液製剤のメイロンとラクテックの組成と効能・効果の比較を下の表にまとめています。
ラクテックに含まれる乳酸は体内で分解されてメイロンの成分である炭酸水素イオンに変化します。
メイロン | ラクテック | |
組成 | 炭酸水素ナトリウム | 塩化カルシウム水和物、塩化ナトリウム、塩化カリウム、L-乳酸ナトリウム |
効能・効果 | アシドーシス、薬物中毒の排泄促進、動揺病とメニエール病の悪心・嘔吐・めまい、急性じん麻疹 | 血液や細胞外液減少時の体液の補給・補正、代謝アシドーシスの補正 |
メイロンとラクテックの併用について
メイロンはカルシウムを含む製剤と混合すると沈殿を生じるため配合してはいけません。
ラクテックはカルシウムを含む製剤なのでメイロンとラクテックを配合して併用することは避けます。
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メイロンの飲み合わせに注意!
メイロンと併用することで重篤な副作用が出る薬の報告はありませんが、カルシウムを含む製剤と配合した場合は沈殿を生じるため配合しての輸液投与は避けます。
また配合することで組成が変化を及ぼす製剤とは配合投与は避ける必要があります。
メイロンは市販で手に入る?
メイロンは病院で医師の処方で静脈内に点滴として投与される医療用医薬品のため市販では入手できません。
同じ成分の他の医療用医薬品を以下の表にまとめています。
商品名 | 成分 |
重ソー静注7%「NP」、重ソー静注8.4%「NP」、重ソー注7%「CMX」、重ソー注7%「トーワ」、炭酸水素Na静注7%PL「フソー」、炭酸水素Na静注8.4%PL「フソー」、炭酸水素ナトリウム静注7%「NP」、炭酸水素ナトリウム注7%「イセイ」、タンソニン注7%、プレビネート注7% | 炭酸水素ナトリウム |
メイロンと同じ成分の市販薬
成分の炭酸水素ナトリウムは一般的に重曹として知られていますが薬として不純物を極めて少なくした医薬品グレードではなく、また薬としての使用は医療関係者のみに限られる危険性の高い医療行為ですので絶対に薬として使用してはいけません。
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メイロンに関するQ&A
Q&A
何歳から服用してもいいのですか?
新生児から投与ができます。
新生児の場合は高濃度を投与すると頭蓋内出血の危険がありますので滅菌されて不純物の極めて少ない医療用の注射用蒸留水で2%以下に希釈してからゆっくりと投与します。
妊娠中や授乳中の体への影響や、子供への影響が心配されますが
妊娠中や授乳中の女性に使用されていますが高血圧や浮腫(むくみ)などの妊娠中毒症がある場合はメイロンを輸液することで水分やナトリウムが過剰に蓄積され症状を悪化させ危険です。
輸液する場合は血液をモニターして慎重にすることが求められます。小児にも使用されますが、新生児に高濃度のメイロンを輸液すると頭蓋内出血した例が報告されていますので新生児には医療用に使用されているグレードの注射用蒸留水で2%以下に希釈して極めてゆっくり(1mEq/分以下の速度)と輸液します。mEq(ミリ当量)は電解質の量の単位です。電解質の原子量を電解質がイオンになった際の原子価で除したもので、原子量÷原子価を1Eqとし、その1000分の1をミリ当量と呼びます。
高齢者にも投与されますか?
高齢者にも輸液されますが生理機能が低下しているため輸液速度はゆっくりと減量を考慮して投与します。
メイロンを市販で買うことができますか?価格に違いがありますか?
メイロンは病院で医師に処方されて静脈内に点滴される輸液製剤ですのでドラッグストアや薬店では購入できません。
メイロンの病院処方薬と市販薬では成分に違い等ありますか?
メイロンの成分である炭酸水素ナトリウムは一般的に市販で重曹として購入できますが薬として不純物が極めて少ない医薬品グレードではないことと医療行為として輸液する危険な行為であるため市販の重曹を薬として使用してはいけません。
一緒にムコスタ(胃の粘膜修復薬)を処方されたのですが、市販ではムコスタは買えません。やはり胃薬は何か使用した方がいいのですか?
医師が患者の症状に応じて処方した胃薬は患者の自己判断で使用を止めてはいけません。
医師に相談して胃薬の使用継続は判断してください。医師の処方に疑問がある場合は調剤する薬剤師に相談してください。
メイロンを使用して車の運転をしても問題ありませんか?
メイロンは静脈内に輸液しますので投与終了後に運転してよいか、また病院で輸液する前に自動車で病院に行って良いかは事前に確認してください。
メイロンの輸液される症状にはめまい等があるので注意してください。
メイロンと一緒に輸液してはいけない薬はありますか?
メイロンはカルシウムを含む輸液製剤を配合すると沈殿が生じるので配合してはいけません。
カルシウムを含む輸液製剤の代表例を下表にまとめています。
分類 | 商品名 |
電解質輸液製剤 | ソリタックス-H輸液、トリフリード輸液、フィジオ35輸液、ラクトリンゲル液「フソー」、ソルラクトS輸液、ソフラクトD輸液、ボタコールR輸液、リンゲル液「オオツカ」、ヴィーンD輸液、ヴィーンF輸液、フィジオ140輸液、ビカーボン輸液、ビカネイト輸液、フィッジオ70輸液 |
中心静脈栄養用基本液 | トリバレン、ハイカリック、リハビックス-K |
中心静脈栄養用キット製品 | ビーエヌツイン、アミノトリバ、ミキシッド、エルネオパ、フルカリック、ネオバレン |
抹消静脈栄養用輸液基本液 | アミノフリード、ビーフリード、アミノグランド、パレセーフ、パレプラス |
メイロンのジェネリック医薬品はありますか?
メイロンのジェネリック医薬品(後発品)はありません。
病院で処方される医療用医薬品として同成分の輸液製剤がありますので下表にまとめています。
商品名 | 先/後発品 |
メイロン(静注7%、静注8.4%) | 先発品 |
重ソー(静注7%「NP」、静注8.4%「NP」、注7%「CMX」、注7%「トーワ」) | 先発品 |
炭酸水素Na(静注7%PL「フソー」、静注8.4%PL「フソー」) | 先発品 |
炭酸水素ナトリウム(静注7%「NP」、注7%「イセイ」) | 先発品 |
タンソニン(注7%) | 先発品 |
プレビネート(注7%) | 先発品 |
メイロンを輸液するときはお酒を控えた方がいいですか?
病院で輸液する時は飲酒してはいけません。
飲酒により体液バランスは変化するのでメイロンの作用に著しく影響して危険です。重篤な症状で輸液した場合は飲酒するということはあり得ませんが、輸液後の飲酒の可否については医師に相談してください。
炭酸水素ナトリウム静注7%「NP」、重ソー注7%「トーワ」はメイロンと効果が違うものですか?
炭酸水素ナトリウム静注7%「NP」、重ソー注7%「トーワ」、メイロンの成分、効能・効果について下表にまとめています。
すべて同じ効果の輸液製剤です。
炭酸水素ナトリウム静注7%「NP」 | 重ソー注7%「トーワ」 | メイロン | |
成分 | 炭酸水素ナトリウム | ||
効能・効果 | アシドーシス、尿中pHの上昇で尿排泄される薬の中毒症状、動揺病・メニエール症候群の悪心・嘔吐・めまい、急性じん麻疹 |
薬剤師からのワンポイントアドバイス
最近、医師と薬剤師による2重のミスで「重ソー(炭酸水素ナトリウム)」と「重カマ(酸化マグネシウム)」を誤って処方されて下痢が止まらなくなった患者の例が報告されています。医師や薬剤師によるミスはあってはいけませんが完璧とはいきません。患者自身も薬を調剤してもらう際に「お薬手帳」を提出することで誤った処方を防ぐことになります。薬を処方してもらう際には「お薬手帳」を忘れずに持参してください


薬剤師 まとめ
今回の内容は医薬品の添付文書とインタビューフォーム、「今日の治療薬2017」を参考にしました。下の表にまとめています。
商品名 | メイロン静注7%、メイロン静注8.4% |
主成分 | 炭酸水素ナトリウム |
薬理作用 | 血液pHのアルカリ化、内耳血管の拡張、内耳耳石の加速度感受性の低下、自律神経作用 |
適用疾患 | アシドーシス、尿中pH上昇で尿排泄される薬物の中毒症状、動揺病(乗り物酔い)・メニエール症候群の悪心・嘔吐・めまい、急性じん麻疹 |
用法用量 | 静脈内投与
〇アシドーシス 不足塩基量(mEq/L)x 0.2 x 体重(kg) 〇薬物中毒治療、動揺病、メニエール病 炭酸水素ナトリウムとして成人に1回12~60mEq *mEqはミリ当量の意味。電解質の量を表す単位で1当量は原子量÷原子価 |
薬物動態 | 静脈内投与であるため速やかに血液中に入る輸液製剤 |
副作用 | 〇重大な副作用;報告なし
〇その他の副作用 (過剰投与)アルカローシス、高ナトリウム血症、低カリウム血症、血液凝固時間延長、テタニー (神経系)口唇のしびれ感、知覚障害 (投与部位)血管痛 (その他)発熱、全身冷感、悪心、不快感、貧血、徐脈など |
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